福岡でビーチ・ボーイズのレコードを買取

福岡のレコード店主が近年のビーチ・ボーイズについて語る

初期から1990年代以降のビーチ・ボーイズのレコードとCDを福岡で買取した時のこと。

先ずは1998年「The Beach Boys Salute Nascar」

これはマイク・ラヴ、ブルース・ジョンストン、デイヴィッド・マークスによる
ガソリン・スタンドでの特典CDだとか。
単に彼らの名曲を再録した安直な企画もので、
音圧が小さく、ボリュームを上げないと聞きづらい。
日本の演歌歌手が再録音して高速のサービスエリアで売ってるベストのようなもの。

続くは1996年の「Stars And Stripes, Vol. 1」

これも企画もので、カントリー歌手と共演したコラボ集。
可憐なロリー・モーガンとの「Don’t Worry Baby」
ウィリー・ネルソンのベテランらしい味わいのある「The Warmth Of The Sun」
印象に残るのはこれぐらい。

レコード用の蓄音機

存在する最高のメンバーで作られた2012年「That’s Why God Made The Radio」

ブライアン・ウィルソンを中心に、
アル、マイク、ブルースと揃うと
コーラス面では企画ものとは雲泥の差。
音の厚みに加え、ブライアンに楽曲が殆どで、
近年ではベストのアルバムです。
ブライアンのソロに比べても出来が良いのは
色々あっても、50年来のキャリアの成すチーム・ワークによるもの。

もっともビーチ・ボーイズらしいと思ったのは、マイク・ラブによる「Daybreak Over The Ocean」

マイクの年老いた声が愛しく、これにコーラスが加わると、
まさに往年のビーチ・ボーイズ。
やはりマイクとブライアンありきのビーチ・ボーイズ。

それから、アル・ジャーディーン。
メイン・ボーカルの「From There To Back Again」瑞々しさ。
ブライアンがメインに移り、
メドレーのように「Pacific Coast Highway」に続く。
この組曲的な作りもビーチ・ボーイズらしい。
久しぶりの傑作です。

レコード

私のお気に入り

私が最も好きなレコードとなると、
やはり「ペット・サウンズ」です。

お気に入りは「駄目な僕(I Just Wasn’t Made For These Times)」

徐々に盛り上がるメロディと図太いドラム、
サイケデリックな逆回転ノイズ、テルミン、打楽器の数々、
複雑なコーラスに、ソウルフルなブライアンやカールのボーカル、
このように書くと壮大なサウンドに思えるが、
フィル・スペクターのようなモノラルとエコーと内省的な歌詞で、
世にも奇妙で、唯一無二のレコードに。

トンネルで響きわたるエコーのようにどこまでも続く奥深いサウンド、
ワイドに響かせたり、叩きつけるような力強い音、心に響く哀愁のバラードなんてどこにでもあるが、
こんな胃袋を鷲掴みされたかのような気分にさせられる音楽は他に比類せず。

スペクターに飽くなきライバル心を抱くブライアンが、
フィルスを研究し作り上げ、
「シンガー・ソングライター的ウォール・オブ・サウンド」が完成した。

この曲をタイトルにしたのが1995年のブライアン・ウィルソンのソロ作品。
これまた僕が一番好きなシンガー・ソングライター・アルバムだ。
プロデューサーのドン・ウォズはこの曲を念頭に置きながら、
このソロ・アルバムを作り上げたのではないか。
「ペット・サウンズ」に心底惚れていた私は、
福岡のタワー・レコードで初めて聞いた1995年の「駄目な僕」に最高の衝撃を受けた。


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