福岡のレコード店主が50年代のエルヴィスを語る

エルヴィス・プレスリーのライヴ音源についてです

実質、公式的に1950年代のエルヴィスのライヴ・アルバムは発売されていなかったと思うが、しかしながらBear Familyから素晴らしいBOXが出ました(レコードとCD)。
このBear Family盤が音質、パッケージ共に最高でしょうね。

さすがは優れた再発レーベル、廉価盤の野暮なものとはジャケット写真も大違い。

レコードの針を落とすと信じられないくらい鋭利でセクシーな歌声が爆発する…。
スコッティ・ムーア、ビル・ブラックとエルヴィス・プレスリーによるコンボ演奏は、
アメリカが生んだ最高のポップ・アートです。

デビューしたての若さ溢れんばかりの歌声がラジオ音源らしく生々しい

僕はモノラルの音が凄く好きです。
コロムビアのポータブル・レコード・プレーヤーでジャズなんか聞くと
管楽器ががバリバリと音を立ててかっこいいですよ。
福岡市内で買取して、蓄音機で聞かせてもらったチャック・ベリーのSP盤の迫力は、
今まで聞いてきた音楽の中で最高の部類に入ります。
音が割れるぐらいバリバリ爆音をあげて暴走する、
これぞロックン・ロールであり、(ジャズも含め)ブラック・ミュージックです。

蓄音機

続いてはエルヴィスの演奏家たちです

フロイド・クレーマーの日本発売デビュー作を福岡市の出張買取で仕入れました。
クレーマーは50~60年代ナッシュビルにおけるスタジオ・ミュージシャンとして、
エルヴィスのピアノを務めて有名です。
いわゆる典型的なナッシュビルの「オールディーズ」サウンドは彼の演奏で多い。
近年、残念ながら亡くなった。

エルヴィスのバック・グループであるジョーダネアーズのゴードン・ストーカーのインタビューを読みました。
以前、中村とうようさんが「ハウンドドック」のコーラスが下手だと指摘していましたたが、
実はストーカーのところへマイクが届かず、カルテットではなくトリオ・コーラスになってしまったと。

最後に、私が好きな1950年代のエルヴィス・ソング

「悩まされて」

エルヴィス本人もお気に入りの曲らしい。
ご機嫌ハッピーな声で歌われるクールなお馴染みのオーティス・ブラックウェル・ナンバーです。

「アイ・ラヴ・ユー・ビコーズ」

スコッティ・ムーアのエレキとエルヴィスのアコギが絶妙に絡む中歌われるセクシーな名カントリーバラード。
確かプライベート盤のB面だったかな。

「レット・ミー」

デビュー映画 「やさしく愛して」 で歌われるアイリッシュ・フォークふうサウンド。
巻き舌でノリノリに歌う姿が最高。抜群のロックのノリとボーカル・テクニックが聞ける佳曲です。

「どっちみち俺のもの」

粘りつくような声で歌われる濃厚なバラードはエルヴィスならではです。

「のっぽのサリー」

リトル・リチャードのキーに合わせるためか声を嗄らしたように歌うのが珍しくて面白い。

「谷間の静けさ」

エルヴィス・ゴスペル最初期作品です。
ジョーダネアーズとの掛け合いが美しい。

「アイ・ベグ・オブ・ユー」

1小節ごと語尾の歯切れのある発音にサビでの絶叫しないシャウト。
こんな微妙な歌い方はエルヴィスしかできないのではないでしょうか。

「監獄ロック」

出だしのスコッティ、ビル、フォンタナの演リズム隊が奏でるリフが、
ローリング・ストーンズや今に続くロックの原点ではないでしょうか。

「サンタが町に来る」

クリスマスに似つかわしくないブルース。
強烈なブラック・ミュージックなクリスマス。

「ラビング・ユー・ベイビー」

クライド・マクファター期のドリフターズを彷彿するソウル。
エルヴィスはクライドの大ファンだったらしい。


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