福岡のレコード店主が「映画の中のエルヴィス」を語る
「カリフォルニア万才」
出だしの「Stop, Look And Listen」まさにミッド60′sふさわしい
グルーヴィーな演奏でシャウトするエルヴィス。最高です。
エキゾチックなアップ「Adam And Evil」、ムーディーなスロー「All That I Am 」
ジャングル・ビートふう「Never Say Yes」、R&Bタイプの「Spinout」
ブーツ・ランドルフのサックスも快調な「Smorgasbord」
セクシーかつ渋い、らしさ満開の「I’ll Be Back 」
バックはバディ・ハーマン、フロイド・クレイマーなど
全盛期ナッシュビル・サウンド。
あらゆるタイプのサウンドを軽々と歌いきっているが、
評価が低いのは低予算映画にしか出ないイメージの問題か。
「ダブル・トラブル」
タイトル曲である「Double Trouble」、
シングル・ナンバー「Long Legged Girl」など
アップの出来も良いのですが、
注目すべきはジャズ風味満載の「City By Night 」。
ナイト・クラブの映像が一層曲の良さを引き立てる。
唱歌「Old MacDonald」は終盤になるにつれ、
テンションが上がり、ロックンロールへと昇華させる。
セクシーな魅力が味わえるのは「There Is So Much World To See」。
「イェイ」「ウッフン」とアドリブ的なシャウトに、
フレーズごとに何気なく伸ばされる語尾、
曲の中で微妙に声をコントロールするので、
どんな曲でも退屈しない。

「GO! GO! GO!」
オープニングの「Easy Come, Easy Go」は編曲が洒落ています。
管楽器、リズム隊、ギター、楽器の複雑な絡みが面白い。
ギター・ソロはスコッティ・ムーアでしょうか。
「Love Machine」はあのアイドル・グループの曲ではないですが、
ミドルテンポでサビのある甘い感じの歌謡曲ふう名曲です。
「Yoga Is As Yoga Does 」はヨガを題材にした珍しい曲です。
曲調はインドふうでも、サイケふうでもなく、
ビートルズのような瞑想サウンドとは真逆の楽しい曲。
エルヴィス映画でのクラブ演奏シーンは個人的に好きです。
「You Gotta Stop」もライヴ感溢れ、
1960年代モッズ・グループのような雰囲気。
「Sing You Children 」の聞き所は、
ジョーダネアーズのゴードン・ストーカーの低音と、
エルヴィスの掛け合い。
「スピードウェイ」
オープニング曲と「There Ain’t Nothing Like A Song」、
ドライブするアップ・ナンバーが作品に似つかわしい。
「There Ain’t Nothing Like A Song 」はナンシー・シナトラが華を添えます。
「Who Are You」は当時流行のソフトなボサノヴァふう。
ブーツ・ランドルフのサックスが美しい。
ブーツのソロ・レコードは当時日本でもよく売れたようで、買取でよく見ます。
キング・カーティスと並ぶロックンロール・サックス奏者です。
「Let Yourself Go」はメンフィス復帰後を彷彿させる泥臭いロック。
「Your Groovy Self」はヒロイン、ナンシー・シナトラの曲。
ナンシーらしいヒップなR&Bタイプの曲は
名パートナー、リー・ヘイゼルウッドの曲です。
「ハレム万才」
中東を舞台の珍作品。
本人もさすがに次々に作られるB級作品に辟易していたらしいが、以外に面白い。
プレスリーのミュージカル・シーンに加え、空手殺法が炸裂するアクション、
退屈させない娯楽映画です。
ご都合主義のストーリーも大歓迎。
曲も良く、ゴージャスな主題歌「ハレム万才」、
アップの「叩けタンバリン」と「ヘイ・リトル・ガール」、
バラード「遥かなるパラダイス」では、
ゴスペル的な熱き歌唱と演技が見もの。
評価は最悪ですが、
タイトル・ロゴなど、1960年代の雰囲気満載。
当時のレトロ気分を味わえるお手頃映画です。
私の住む福岡でも買取依頼が多く、
さすがスーパースターですが、
売れてるだけあり、レコード価格はピンキリです。
高価で買取できるものもあれば、安価な買取も多いです。
ただ福岡で、エルヴィスのレコード買取依頼があると、
最もワクワクするのは私だと思いますよ。